宙ぶらりん

気が向いたら・・・・

「池の水」を抜くのは誰のため?

「池の水」を抜くのは誰のため?

暴走する生き物愛

小坪 遊(こつぼ ゆう)

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読み始めました。

経歴は、

朝日新聞の科学医療部という部署に勤務。大学では、生物学系の研究室に所属、外来種の調査などをしてきたようです。その後、環境庁記者クラブに所属、3年弱取材をしました。

私個人の主張だけではなく、国際組織や国、自治体、学会、信頼できるNGOなどが出している声明や指針、法令などを根拠にしているとも書かれています。 

実際に現場に行き、調査・取材をすることで得た実体験を交えた文章です。

最初に登場するカブトムシを例にとると、千葉にカブトムシを増やそうとして、遠く九州の長崎にいたカブトムシを放つ。カブトムシは強いので、樹液を独り占めしてしまうかもしれない。そうすると、他の昆虫たちは・・・

また幼虫は腐葉土を食べて成長するので、卵を産んでも、腐葉土がなければ死んでしまう。

「夏が終わり、成の死体は転がるなか、その卵や幼虫は1匹も生き残っていない。それでは、カブトムシを大量に捨てているのと変わりません。生き物や命を大切にする行為と言えるでしょうか。」と書いています。

また、カブトムシにも個性があり、東京と千葉では違う。環境に慣れずに死んでしまうかもしれない。交配しても、うまく育たない可能性もありそうです。

メダカなどでは、よく言われていますよね。遺伝子が違うので、本来、その地方に住んでいたメダカとは全く違ってしまうことは。

 

長いので短くはまとめられませんが、印象に残ったのは、「外来種」とは、外国から入ってきた生物に限らず、その地域に元々いなかったもの・・ということ。 

外来種などを駆除すると「(その外来種の)命を大切にしてない」という意見が出ますが、逆に放置すれば奪われ続ける在来種の命。

 

「後書き」に、こう書かれていました⇩

本書を手にとっていただけた方の多くは、生き物や自然に関心のある方ではないかと思います。いかがだったでしょうか。

生き物好きの私にも忘れられない経験があります。それはまだ6歳か、7歳くらいの頃の話です。祖父母宅の裏にあった小川で捕まえたメダカを眺めているうちに、川から汲んだ少し茶色っぽく見える水が気になり、「きれいな水にしてあげよう」と思いついたのでした。私は、蛇口をひねって水道から澄み切った冷たい水を水槽に入れると、そこにメダカたちを投入しました。

魚を飼ったことのある人ならだれでも、水道の水にいきなり魚を入れてはダメだということは知っています。魚は、急激な温度変化や水質の変化を受けると、弱ったり、死んでしまったりします。幼い私はそんなことは知りませんでした。メダカたちは次々に死んでしまいました。1匹、また1匹と動かなくなるのを見ながら、なんとか元気になって欲しいと思って、さらに必死できれいな水を足しました。そしてメダカは全滅しました。 

知識がなかった幼い頃、「よかれ」と思ってやった行為が真逆になってしまったという苦い経験談です。

相手は生き物。しっかりとこちらが知識を身につけ、それをもとに行動する。

これが大事なんだと思いました。

ヒアリのような危険な特定外来生物には敏感でも、普段目にしない生き物については無頓着。この関心のなさが、こういった事象を生んでしまうのでしょう。