ジャコウアゲハの育て方 なんておこがましいですが、何年間かジャコウアゲハを育ててきて感じたことを書きます。
①食草・・どんな蝶の幼虫でも食草が大事
一番大事なことは「食草」である、ウマノスズクサの確保。
どの蝶の幼虫飼育でも、これが十分にないと育てられません。
近所に自然に生えているならともかく、なければ自宅で育てることが一番手っ取り早いです。その方が臨機応変に対応できます。
ただし、地植えすると巨大になってしまう樹木 (クスノキ、エノキ、カラスザンショウ、キハダ等々) は避けた方がいいです。大変なことになります。
その場合は鉢植えでこじんまりと育てた方が無難です。誰しも広大な土地をおもちでないので。
1頭の幼虫で 1㎡もの葉を食べるらしいので、これって、かなりの量です。葉にして、何枚分でしょうか。
鉢植えの場合、10枚ほどの葉では到底足りないでしょう。
幼虫が大きくなれば食欲も増加するので、かなりの葉が必要です。
鉢植えにする場合、葉をたくさん茂らせないと多頭飼いは無理ですね。
1頭なら、なんとか可能です。
我が家はバラのためのアーチにウマノスズクサを這わせていますが、葉の数は半端なく多くあります。
②飼育容器
今回は味噌の容器を使いました。
今まで使った中で、大きさ的にも一番扱いやすいし管理もしやすい。開け閉めが楽で、しっかりと蓋することが出来る。
しかも、重ねておけるのは便利です。なんたって、タダ。
容器が透明なので、中の幼虫が観察がしやすいです。
さらに、壁面が平らなので掃除もしやすいです。
考えられる容器として、普通の昆虫採集に使うような蓋の色がブルーでたくさんの空気坑が開いている容器がありますが、中に入れた食草の葉の乾燥が激しく、葉を維持することが難しいです。
地植えした食草や鉢植えにネットを被せるという手もありますが、自分はやりませんでした。ちょうど良いサイズの食草の鉢植えがないからです。
また、コンビニのサラダのような密閉容器の中には、内部が波打っているものもありますが、とても掃除がしにくかったです。平らなものがいいです。
《ファミマの「オニ盛!」ペペロンチーノ 大きいですが、透明でないのが難 》
100均で売っている密閉容器は丈夫ですが、材料がポリエチレンなどで透明度がなく、しかも、抗菌仕様だと、どうなんでしょう?
ということで、味噌の空容器は、ある程度密閉することが出来て、しっかりと蓋をすることができます。それゆえ、葉の乾燥を防ぐことが出来ます。
いちいち、葉を乾燥させないようにと、茎に水を浸み込ませたスポンジを巻いたり、水を入れたビンに茎を挿すのは大変でしょう?
ズボラが一番です。
ということで、今回使った味噌の空き容器は飼育にはベストということが言えます。(密閉容器での飼育はウン十年前から使っていますが、とても便利。窒息はしません)
ただし、温度管理は必要で、日当たりの良すぎる場所や暑い部屋は不向き。
風通しの良い、涼しい場所に置いてください。
それと、蚊取り線香などの殺虫成分を含む煙が浸入しない場所。
これ、大事です。
いくら優れた容器と言えど、糞などの処理をしないと不潔になり、幼虫が弱ってしまいます。特に幼虫が大きいと糞の量も多くなります。
葉の交換は、すべての葉についた幼虫を取り出し、食べ終わった葉や糞の除去した後に、再び乗せるだけ。
この時に幼虫をゆっくりと観察することができます。
③どんな場所でも蛹になってしまえば管理は楽
食草の葉を与える手間がなくなれば楽勝。
あとは羽化を待つだけです。
以前は蛹ポケットを作って、そこに蛹を入れていましたが、飼育容器の壁面などについた蛹を剥がす時に蛹を傷をつけてしまう恐れがあるので、なるべく、蛹は剥がさずにそのままの状態で放置しています。
また、羽化する時に、不要な排泄物を出すので、蛹の下にはキッチンペーパーなどを敷いておくことをお勧めします。そうしないと汚れます。
さらに、羽化した成虫の翅が伸び切らずに固まってしまうことを防ぐためにも、翅を乾かすためには壁面にとまることが大事。
壁面に登りやすいようにキッチンペーパーなどを貼っておくといいかもしれません。
自分は、
「アイリスオーヤマ クリアビュー飼育ケース」 浅型 ブルー CC-360L
に蛹を移し替えて使っています。
はじめは、こんなに広いケースは葉が乾燥しやすいので、買ったものの使わないでいました。
でも、今は「蛹の羽化場」として使えることがわかり、この中に蛹をいれて羽化を待っています。
養生テープにつかまり、翅を伸ばしています。
★ただ、蛹を底に置くだけだと、壁面に上るまでに時間がかかり翅が曲がったままになってしまうので、翅をまっすぐに乾かすためには、下のように壁面に葉をとめておくか、蛹ポケットを作って、そこに入れるようにすると正常に羽化できます。
もし、翅が不完全に羽化してしまった場合
翅が不完全だと飛ぶことが出来ません。ちょっとでも、縮まっていたり曲がっているだけでも飛べません。これでは、エサを摂ることはできないため、やがて死んでしまうでしょう。
でも、せっかく羽化したのですから、せめて長生きをさせてあげたい。
エサやりについては、ネットに載っているように、蝶の羽を持ち、爪楊枝で蝶の口吻をのばしてエサにつける方法があります。エサはポカリスエットです。
無理やり飲ませようとしても飲みませんでした。
でも、しばらく様子を見ていたら、口吻をのばして飲み始めました。ポカリ、使えます。
翅をパタパタさせながら飲んでいました。
どちらも飛んだり、交尾や産卵はできませんが、元気に生きています。
容器は蝶が乗ってもスタ剥かないように陶器性の小皿を使用。そこにキッチンペーパを置いて、ポカリを注いでいます。
庭で飼育していた幼虫
お隣の出窓の下で蛹化していました。
植樹からは6m以上も距離があります。植樹で蛹になると思っていましたが、ジャコウアゲハも離れた場所でも蛹になることが分かります。
図鑑や動画で飼育の様子を見て学習するのもいいですが、大変ながらも自分の手で実際に食草を確保し幼虫を育てて羽化させる・・
この方がはるかに貴重な経験となります。
夏の自由研究にもなりますし。