宙ぶらりん

気が向いたら・・・・

僕の昆虫学 今福龍太  《筑摩書房》

僕の昆虫学 筑摩書房

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以前聴いた、TOKYO FM 朝の番組「FUTURES」。

文化人類学者の今福龍太さんのお話でした。

 

虫が問いかけるもの・・・

あの雑木林が消えていた  

人間が採集するからではなく、野原などの虫の棲む環境がなくなってしまっている・・・
そして、虫は商品になって・・・・

 

この本の内容
「初夏の青空を背景にしたオオムラサキの荘厳な飛翔があれば、それだけで世界は完全だった。イチジクの木の葉にキボシカミキリの銀河のような黄色の斑点模様を発見すれば、もうその日の幸福は約束された」。昆虫を追い求める至福の時間―。南米などで精力的に活動をつづける文化人類学者が書いた、自らの原体験ともいうべき昆虫との出会いから、未知なる生命の世界へといざなってくれた14人の師への架空の手紙。

この本の目次
ジガバチの教え―アンリ・ファーブル先生へ
カスリタテハの幻影―チャールズ・ダーウィン先生へ
クジャクヤママユの哀しみ―ヘルマン・ヘッセ先生へ
ギンヤンマの音楽―志賀夘助先生へ
オオカマキリの祈り―得田之久先生へ
聖タマオシコガネの無心―北杜夫先生へ
クモマベニヒカゲの挽歌―田淵行男先生へ
ギフチョウの沈黙―名和靖先生へ
ユスリカの呪文―手塚治虫先生へ
スズメガの貪欲―ヨリス・ホフナーヘル先生へ
ウスバシロチョウの自伝―ウラジーミル・ナボコフ先生へ
コノハチョウの共同体―五十嵐先生へ
ハンミョウの流浪―安部公房先生へ
イツパパロトルの聖樹―ドン・リーノ先生へ

筑摩書房

かつての昆虫少年たちへ
著者の今福さんは文化人類学者だが、かつては昆虫少年だった。記憶のスイッチを入れることによって、いつでもあの頃に帰ることができる。あの頃の思い出とその後の生の消息を、虫への情熱をかき立ててくれた「僕の昆虫学の先生」たちへの、架空の手紙で語った書である。ファーブル、ダーウィン、ヘッセ、ナボコフ北杜夫手塚治虫安部公房、といったビッグネームに加えて、山岳写真家の田淵行夫、昆虫社の志賀卯助、岐阜の博物館の名和靖ほか3人の先生たちへの手紙は、生命の神秘を発見した少年時代の郷愁と、失われていく自然への挽歌で充ちている。当レビューアーも、今福さんほど読書家でも繊細でもなかったものの、少年時代に志賀昆虫社に通い、岐阜の博物館まで出かけて、同じような経験を共有しているため、懐かしさでいっぱいになった。美しい文章で語られる自然への憧憬は、夏の緑陰読書に向いているかも知れない。とてもよい本だ。

Amazonのレビューより

昆虫好きの方々には、是非読んでもらいたい一冊です。